ストーリー

われわれの世界とは時空の異なる世界、ミネルバトン。
そこは人と神、そして魔物さえも実在する不思議な世界である。
ミネルバトンは、われわれの世界が始まる前の、あるいは終りをむかえた後にくる、
いまだとき明かされぬ、失われた時間の中の世界なのだ。

ミネルバトンは、次なる世界―光と闇の世界を産み出すために存在している。
ここでいう光とは「光明神ハーン」、闇とは「暗黒神ズール」を指す。
この2神はほぼ同等の力を持つため、直接的には対決することはない。
特に光の陣営は、世界の破壊を恐れるあまり、戦いは常に「光の戦士」と呼ばれる人間の勇者に託されてきた。

対する闇の陣営は、いかなる魔物でも、時には腹心である強力な魔神でさえも送り出してきた。
闇にとっては、勝つことさえできれば、それで良いのであった。
それゆえに、ミネルバトンにおける光と闇の争いは、いつの世にも絶えることはなかった。

連綿と続く時空の流れの中で、我々の住むこの世界も生まれた。
激戦の後に、かろうじて光の陣営が勝利を収めた結果できた世界だった。
しかしあまりに混戦だったため、例外的に生きのびた魔物がいた。
これが地球では悪魔、鬼、妖魔などと呼ばれる存在である。

未来においても地球人、リュウ・イ・ソルが異星ガデュリンで遭遇したズールも、これら魔物の生き残りなのだ。

話をミネルバトンに戻そう。
かつて、ラゴンという強大な力を持つ魔王がいた。
彼は暗黒神ズールを父とする3人兄弟の二番目の息子であった。

ある時この「暗黒の王子」と呼ばれる魔王が、南オフェーリア地方を襲った。
それにより、人々の平和なくらしは無残に打ち砕かれ、魔物の跳梁とともに、頭上を闇が覆った。

しかし、闇の支配もそう長くは続かなかった。
パルメキア王国から落ちのびたレオン王子が立ちあがったためである。
彼は人間の身でありながら、数多くの試練に立ちむかい、また幾百幾千もの魔物を討伐した。
そしてたくさんの仲間や、光の神々の力を借りて、伝説の「光の戦士」となることができたのだ。

レオン王子は、予言に定められた2人の仲間、数人の傭兵と共に、
暗黒の王子が待ち受けるラゴン城へとのり込み、果敢に戦いを挑んだ。

それは長く苦しい戦いであった。
しかし、仲間たちが傷つき倒れていく中、最後の気力をそそぎこみ、
ついにレオンは宿敵ラゴンの胸に、神々より与えられた「光の剣」を深ぶかと貫きとおしたのだった。
こうして、闇の王子ラゴンは倒れた。

その後、王子は亡国パルメキアを復興させ、仲間であった巫女と結婚し、幸せに暮らしたという。
吟遊詩人らは、これを「新たなるミネルバトンのサーガ」として語り伝えた。

時は流れ、レオンの孫であるパルメキアの王子カイラルが16歳になった年の事だった。

パルメキアでは、ラゴンが倒されて以来、たいした魔物の跳梁もなく、まさにつかのまの平和を享受していた。
ところがつい最近、その魔物どもが、ふたたび出現するようになったのである。

この歳になるまで、カイラル王子は城の外に出たことがなかった。にもかかわらず、王子は無謀にも決意した。
「今こそ、祖父のような冒険の旅に出る時だ」と。

父である王の許しを得て、王子カイラルの冒険の旅が、いま始まった。
それは後に「白銀の英雄譚(シルヴァ・サーガ)」と呼ばれることになる、つらく厳しい冒険の始まりであった…。


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